こんにちは、よもぎです。今日は報酬系を諦める話を書きます。
先日Twitterでこんなことを書いたらやけに反響をいただきました。
報酬系が弱いADHD成年当事者の場合、もしかすると報酬系を伸ばす訓練より、報酬を諦める訓練の方が向いているのではないかと思っています。例えば「これを終えたらチョコレート食べてもいい!」とか考えててもどうせすぐチョコレート食べて自己嫌悪に陥るので、最初から無報酬で成し遂げる練習を。
— よもぎ@ADHD (@yomocracy) 2017年7月17日
報酬系が弱いと言われるADHD。当事者の皆さんは何となく身に覚えがあるのではないでしょうか?
子供の場合は、報酬系を伸ばす療育で改善されていくことが多いようですが、成人の場合そんなにゆっくり時間をかけていられませんよね。
今日は、「成人の場合」もう鼻先ににんじんをぶら下げるのは辞めてみてはどうか?というご提案です。
無報酬で走り切る練習
「この仕事が終わったら、帰りにジュース買って帰ってもいい」
「市役所に出す書類を作り終わったら、アイスを食べてもいい」
「ちゃんと出社出来たら手帳にシールを貼る」
こういう「マイご褒美ルール」作ってませんか?うまくいってますか?
私も過去には作っていました!しかし失敗続き。どうやら、ルールに「縛られている」ことを窮屈に感じてしまって、達成感どころか窮屈な思いをすることが多かったので、やめてしまいました。
自分で決めたルールに対して「何故終わらないとジュースを買ってはいけないのか」「何故アイスを我慢する必要があるのか」と基本的に因果関係がない2つの事象にモヤモヤしてしまって!!
「...ええい!関係ない!アイスもジュースも今口にしてやる!」とルールをさくっと破り、襲い来る自己嫌悪...。
以上が、「ああ、私多分こういうの向いてないんだなあ」と感じた理由です。
鼻先ニンジンが有効なのは
そもそも「報酬で釣る」ことにADHDは向いていない人が多いと思います。「報酬系の不全」がある可能性が高いからです。
またこうも考えられる。ADHD児は普段、非ADHD児が快感や喜びを覚えるようなちょっとした出来事には反応しないので、関心を払えないのだ。そういう意味でADHD児は快感という大事な感覚を普段十分に味わえていない子供とも言える。
※以下のブログから引用させていただきました。報酬系について詳しく書かれているので是非ご覧ください。
neurophys11.hatenablog.com
私達成人ADHDの中でもとりわけ、この「報酬系」が発達してこられなかった人間にとっては、「報酬で釣る」という行為自体を諦めてしまうことが最もスムーズに行動できるポイントではないだろうか?と私は考えています。
鼻先ニンジンを諦めるメリット
どうせ鼻先にニンジンがあってもなくても、望む通りのパフォーマンスにならないのであれば、やめてしまいましょう。
勘違いしやすいのですがそもそもやると決めたことを最後までやりきることができないのがADHDの特性の一つであって、そこに鼻先ニンジンは少しも関係ないんです。
見てください。以下は鼻先ニンジンによる被害の拡大です。
「終わったらおやつって決めてたのに、全然捗らないし、ついうっかりおやつも食べちゃったし、なんかもうやり切れる気配がないし私本当に最低...」
青文字が、「ご褒美を設定したばかりに生まれること、感情」
赤文字が、「タスクをやり切れないことで生まれること、感情」です。
ADHDの人は、一度に色んな悩みを抱えるとパンクしやすいと思います。私はしやすいです。だからもう悩みは極力シンプルにしてしまいましょう。
「全然捗らないしやり切れる気配がない」
これだけの方が、精神衛生上とーーっても楽に見えませんか?
シンプルに、やりきる
鼻先にニンジンぶら下げるのをやめて、シンプルに課題に打ち勝ちましょう。
たとえば、「家事をやらなくては」という命題があったとしたら、まずはもっと細分化するのがお勧めです。「洗濯機を回す」「洗濯を干す」「アイロンをかける」「お茶碗を洗う」「掃除機をかける」とか。そして基本的に一度に全部は無理なので、サクっとできそうなものを1個選びましょう。私なら「洗濯機を回す」にします。
・洗濯機の中にタオルを入れる
・洗濯物ネットにそれぞれを入れて、洗濯機へ
・決められた量の洗剤と柔軟剤を入れる
・洗濯機ポチ
・・・おしまいです!!たったこれだけで1つ終わりました!!すごい!やるじゃん!できるじゃん自分!祭だ!アイス食べても誰にも文句は言わせない!!
そしてアイス食べます。予告していなかったご褒美が突然出てきました。いい気分です。
つまり、無報酬でタスクを乗り切るために私がお勧めするのは
くらいまでハードルを下げてあげること
(2)「これが終わったら○○できる」ような報酬は敢えて設定せず、
「小ボス」を倒したらなんか自分で嬉しいことをちょっとやる。
※これはやらなくてもいい、「連続でボス倒しまくるぜ!」でもいい。
とにかく初めに「これが終わったら○○できる」は報酬系の弱い人間にはただの『呪縛』でしかないので、一切やめてしまいます。そしてタスクをすごく細分化してハードルを下げ、クリアするごとに「あ、できた!」を存分に得ましょう。
「洗濯機回り始めて嬉しいな~ってことはおやつくらい食べてもいいな」と自分を許してあげることにもつながります。そうすると、自分への小さな達成感、満足感を持ったまま次の「洗濯物を干す」に取り掛かりやすくなっていきます。
最終的に報酬を得ているという意味では、鼻先ニンジンスタイルと変わりません。でも報酬系が弱く、自己肯定感も低いADHDに対しては、アプローチを変えることで精神的余裕をもたらせるのではないかなあと思っています。
「やることを細分化」のあたりはまた細かく説明する機会を設けたいと思うのですが、ひとまず以下の記事の「TODOリスト(手順書を作る)」というところも参考にしていただければと思います。
今日も最後までご覧くださりありがとうございました😊