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ADHD治療薬のコンサータの効果や副作用は?服薬開始から1年経過した感想について

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こんにちは、よもぎです。
今日はコンサータ服薬を開始してから1年間が経過しました。コンサータという薬についてのまとめのお話です。

ADHDの服薬について迷っている方や、コンサータを飲み始めたばかりの方向けに、1年間の間の増量、効果の変化について、副作用について、私の体験談を紹介します。

コンサータとはどんな薬なのか?覚せい剤って本当?

ADHDの治療薬として有名なコンサータですが、どんなお薬なのかおさらいしてみたいと思います。

有効成分名:「メチルフェニデート塩酸塩」
中枢神経刺激薬(興奮剤)の一種です。脳の神経を刺激して、神経伝達物質のドパミン(ドーパミン)濃度を上げる働きをします。そのため脳の活動性が増して覚醒しやすくなるという作用があります。

この覚醒作用が、よく「覚せい剤」と言われる所以です。
日本ではこういった中枢神経刺激薬について、『麻薬及び向精神薬取締法』で使用を厳しく制限しています。使用についての賛否はあると思いますが、日本では現状、コンサータは治療薬として危険性が低いと認められているわけですね。

また、コンサータの錠剤は、18mg、27mg、36mgの三種類があり、これを組合せて処方し、成人では1日最大72mg(36mg×2)まで服薬できます。

眉唾情報ですが、自分の体重のkgをmgに置き換えた量が適正量の目安と聞いたことがあります。体重50kgの女性であれば、45mg(18mg+27mg)か54mg(27mg×2)が効果が出やすく体の負担のバランスも考えた適正量の目安になるということですね。*1

コンサータとリタリンの違い

コンサータの成分「メチルフェニデート塩酸塩」は、「リタリン」というナルコレプシーの治療薬と全く同じものです。聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
コンサータとリタリンの違いはズバリ効果の出方にあります。

リタリンは飲んですぐに効き目が現れ、短時間で切れてしまいます。一方コンサータは『除法剤』といって、少しずつ効果が出て、長時間持続するように工夫されたお薬になっています。
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リタリン 効果時間は、服薬20分後から、3~4時間程度と言われる。
コンサータ 効果時間は、服薬30分後から、約12時間程度と言われる。

 

コンサータを飲めばADHDは治る?服薬を迷う方へ

コンサータを飲めば果たしてADHDは『治る』のでしょうか?
残念ながらADHDは生まれつきの器質的障害なので『治る』ことはありません。ただ、コンサータなどの服薬によって特性の出方を抑え、社会適応の基盤を作ることは可能です。

ただしいくつか問題もあります。それは、コンサータの効き目は、個人差が大きいということ。つまり、人によっては副作用もかなり大きいということです。

それでは、私の感じたコンサータのメリット・デメリットについて具体的にご紹介します。

コンサータのメリット、効果

あくまで私の場合ですが。2ヶ月飲んで以下のような実感でした。


これは1年間飲んでみても所感は変わりません。

眠気の改善

一番大きいのは何といっても昼間寝なくなったことです。私はコンサータをMAX量の72mg飲んでも寝ようと思えばぐっすり昼寝ができるのですが、無意識のうちに寝落ちてしまうことはなくなりました。眠気があっても我慢はできるレベル。
※ 私の日中の眠気の強さについては過去記事をご覧ください。
病的に眠り過ぎてナルコレプシーの検査を受けた話 - 成人ADHDが理想の生活を目指すブログ

 

ワーキングメモリ

ワーキングメモリもかなり改善されたように思います。具体的には、作業中に電話がかかって来たり、横入の仕事が入った時に「直前まで何をしていたか」を忘れることが減りました。
服用前は「えーと、、、何をやっていたんだっけ?」となってしまい、また1から作業をやり直すこともしばしばありましたが、他のことに気を取られても、すぐに戻って来られるようになったことはかなり大きなメリットです。

先延ばしの改善

これは、どちらかというと脳内の整理ができるようになったことが先延ばしの改善につながっているように思います。
私が先延ばしをしてしまう原因は、「頭の中で手順や情報が整理できず混乱してしまい、考えるのが面倒になってしまう」ことでした。「うーん、なんかよくわからないし面倒くさくて気が進まないから後でやろう」となっていたんですね。

これが、コンサータの服用によって頭の中が綺麗に整理されることで、自分でも手順や情報整理が容易になりました。その結果先延ばしの原因が取り除かれて、先延ばしがかなり減ることにつながりました。


先ほどのツイートには書いていませんが、感覚過敏も少し軽減されるような気がしています。

コンサータの副作用と対策について

臨床実験の結果、コンサータの基本的な副作用は以下のようなものが報告されています。

成人AD/HD患者を対象として国内で実施した第III相試験及び長期投与試験の総症例272例中、副作用(臨床検査値異常を含む)は209例(76.8%)に認められた。その主なものは、食欲減退108例(39.7%)、動悸59例(21.7%)、体重減少54例(19.9%)、不眠症49例(18.0%)、悪心45例(16.5%)、口渇40例(14.7%)、頭痛29例(10.7%)であった。
※引用元:
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179009G1022_1_13/


私も、慢性的に以下のような副作用があります。

・動悸、息切れ →薬が効いている間は心臓がバクバク
・頭痛 →元々頭痛持ちですが、増えました。
・吐き気、食欲不振 →体重は5kg現象。食べても食べても痩せる。
・微熱 →薬が効いている間は知恵熱が出てるような感じで37.2℃くらい
・口渇 →水を飲んでも飲んでも口が渇いた感じがする


体調も崩しやすくなり、甲状腺が腫れたりしました。(主治医曰く、コンサータの影響で腫れることはたまにあるそうです)


ちなみにその後、甲状腺の検査をしましたが問題もなく、腫れもひいて落ち着いています。

交感神経を働かせるという薬の作用的に、自律神経失調症や甲状腺疾患に似た副作用が出やすいのかもしれません。メリットと引き換えに、自律神経失調症のようなだるさが毎日続いている状態です。

こういった副作用の対策として、胃薬を合わせて処方してもらったり、自律神経の乱れを整えるためにサウナに通ったりしています。あとは身体が疲れやすくなっているので無理をしない選択も。いわゆる自律神経失調症の対策に似たようなことをを日々心がけていますね。

ずばり、コンサータはオススメか?1年間飲んでみた感想

1年間コンサータを飲んでみた私の意見は以下の通りです。

・一度は飲んでみてもよいが、過度な期待をすべきではない。
・お子さんへの投与については、障害の度合いにもよるけれどあまりお勧めしない。


とても残酷ですが、「コンサータを飲めば、先延ばしも改善されて、忘れ物もしなくなって、きっと定型と同じように生活できるようになるはず」という希望が叶えられることははっきりいって殆どありません。

私自身も、まったく同じように思い、藁にもすがるような思いで服薬を始めましたが、1年間飲んで夢物語であることが分かりました。

なぜかというと、(私の持論ですが)ADHDにとってのコンサータは、視力が悪い方の眼鏡と同じだからです。
コンサータを飲めば景色が変わります。今までぼんやり見えていたものがくっきり見える眼鏡に似ています。ですが、眼鏡をかけたことで初めて見えた文字がすぐ読めるわけではありませんよね。コンサータも同じです。見えるようになったものについて、学び、訓練し、努力によってはじめて成果に結びつく。

そう言う意味で、コンサータを飲んだからと言って何でもできるようになるわけではないということなんです。だけど、コンサータを飲んで自分が努力することで、確実にできることが増えています。私にとっては手放せない大切な相棒です。

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もう1つ大きな問題として、当然副作用のことがあります。
私はコンサータを飲むことで「確実に命を削っているな」という実感があるのです。先程の通り、体調はずっと優れません。ある意味毎日ギリギリです。
ですが、私は仕事をしてお金を稼がないと生きていくことができません。だから生きるために命を削るというリスクを負ってもコンサータのメリットを受けることには納得しています。こればかりは人それぞれの選択になると思います。

子供のコンサータ投薬について

ADHD児へのコンサータの投与は度々その是非が議論されていると思いますが、私はこの、「飲んでもその先につながるかどうかは本人次第」「副作用が大きい場合かなり負担になる」ことから、自我がしっかりしていない、特性の自覚が少ない、あるいは自分の思いを言語化するのが苦手なお子さんにとってはリスクの方が大きいのではないかなという印象を持っています。あくまで個人的な意見です。

お子さんが中学生や高校生、できれば大学生くらいになって心身がしっかりしてきたときに、本人が困っていて、希望するのであれば、試してみることが一番いいのかなと思っています。

お子さんへの投与で悩まれる親御さんは沢山いらっしゃると思いますが、一例として参考にしていただけると幸いです。


お子さんでも、成人でも、作用も副作用も人それぞれですし、案外杞憂に終わるかもしれません。だからこそ、メリットとデメリットの両方を知った上で、『試してみる』ことをおすすめしたいと思います。

おまけ:コンサータ以外のADHD治療薬

2018年1月現在の処方薬です。

コンサータ
(36mg)
ADHDの特性を抑える/眠気対策用

セルベックス
(50mg)

一般的な胃薬。最近の研究の結果、成分の「テレプノン」が抗うつや、ADHDにも良い影響を及ぼすことが分かって来たらしく処方されました。*2
コンサータの吐き気を抑えられる嬉しいおまけつき。
カタプレス
(75μg)
α2アドレナリン受容体作動薬。血圧を下げる薬ですが、ADHDの対策用に処方されています。
血圧を下げる薬でADHDに効くと言えば、新薬の『インチュニブ』が有名ですが、まさに似たお薬です。中枢神経に作用して血圧を下げるという作用が、ADHDの興奮を沈めて脳内の散らかりを抑えるようです。あまりに副作用の眠気が強く日中に寝落ちたため、今は夜だけの処方です。
ワイパックス
(0.5mg)
発達とは関係なく不安感が強いので、頓服としてワイパックスをもらっています。

実は睡眠薬としてルネスタも処方されているのですが、カタプレスとワイパックスで大体眠れてしまうので最近は出番が少なくなっています。

以前飲んでいたベタナミンもそうでしたが、コンサータやストラテラ、新薬のインチュニブ以外にもADHDの特性を抑えると言われているお薬があります。コンサータやストラテラが合わない・処方されない場合、主治医の先生に相談してみるなど、取捨選択の1つとして参考にしていただければと思います。

最後までお読みくださりありがとうございました😊

📖参考記事

www.yomocracy.com


⚡コンサータ服用開始から1年間のTwitterのまとめはこちら

*1:これより少ないから効果が出にくいということでもありません。効き目は個人差があるので、当然前後することもあろうかと思います。処方量は主治医と相談して調整することをおすすめします。

*2:「テレプノン」が「熱ショックたんぱく質(HSP)」の生成を促進する→HSPが増加すると抗うつ効果がある「神経栄養因子(BDNF)」の発現量が増える、という仕組みらしい。岡山理科大:うつ病に胃薬が効果か マウス実験で症状改善 - 毎日新聞